◆基調講演 & 映画上映


 ◆基調講演

題目:「世界平和への挑戦:被爆体験の視点から」
講演者:近藤紘子(こんどう・こうこ)氏
日時:9月19日(土) 16:40 pm~18:10 pm
場所:太平館2階A200教室
言語:英語

講演者紹介:
牧師の娘として広島に生まれ、生後8カ月で爆心地から1.1キロの地点で被爆。被爆者であることで、放射能が人体にどのような影響を与えるかの検査体験を受けるなど数々の苦難を体験。特に10才の時、広島原爆投下したB29「エノラ ゲイ」の副操縦士との出会いから変えられた体験 (transformative learning) を通して学ぶ。桜美林高校を卒業後、渡米し、センテナリー短大、アメリカン大学を卒業。長らく世界に「ヒロシマと核」を訴え続けた父谷本清の平和への思いを引き継ぎ、海外で講演など平和を訴える活動を続けている。著書「ヒロシマ、60年の記憶」徳間書店。


 ◆基調講演

題目:「自由と権利のないポル・ポト派政権下の体験と日本での体験」
講演者:久郷(くごう)ポンナレット氏
日時:9月20日(日) 10:40 am~12:10 pm
場所:明々館9階 A910
言語:日本語

講演要旨:
 1975年カンボジア内戦が起きた当時、私の年齢は10歳でした。それまでは、至って普通の幸せな家庭に生まれ、優しい両親の愛情を受けて育ちました。しかしその内戦を境に、カンボジアでの生活は一変してしまったのです。今となって思えば「天と地がひっくり返る思いでした。ちなみに日本では「指導者が交代」しても、国民の生活にとって対して大きな変化は起こりません。しかしカンボジアの場合は、指導者が変わることは、国民にとって「死活問題」です。
当時の内戦期間は、正確に述べると1975年4月17日~1979年1月7日の3年8カ月20日間でした。その間に幼かった私は、強制移住、強制労働、そしてかけがえのない両親ときょうだい4人を失いました。九死に一生を得た私は、1980年に生き残った兄たちと三人で日本に留学中の姉を頼りに、「地雷原をくくりぬけながら命がけ」で日本に来ることができました。来日の前と後は多くの方々に温かく支えられ、助けられてきました。それから30年の日本での月日は、平穏無事というものではありませんでしたが、私はようやく「人並みの幸せを取り戻す」ことができました。
転機が訪れたのは2005年でした。来日してからちょうど25年になった私は、故国を再び訪れ、犠牲になった両親ときょうだい、そして多くの名の知れない犠牲者の方々の慰霊祭を行なうことができました。慰霊祭は現地の方々も参加してくださったのですが、その多くは「当時の加害者」側の人たちです。最初私は恐怖心を抱きましたが、合同慰霊の日には誰もが「とても普通のやさしいまなざし老人」の姿に変化していました。慰霊をとり行う彼らの真剣な表情をみて、私の心に大きな変化がありました。それは、「時代と共に人間には“天使にも悪魔にもなってしまう”」という思いです。つまり戦争が起きると、普通の人間が悪魔になってしまい、戦争が終わって時間が経つと元の普通の人間に戻るのだと思いました。
彼らのその姿を見て私は、今までの辛く悲しい過去を受け入れる気持ちのゆとりが生まれました。そのため、これからは自分が経験した「戦争の愚かさ」を少しでも世の中の平和のため役に立てたいと考えるようになりました。「戦争で無念の死を遂げた両親ときょうだいはじめ、多くの尊い命を犠牲となった方々のご冥福」のためにも、平和の大切さ素晴らしさを伝え続けて行きたいと思います。

講演者紹介:
元カンボジア難民、1964 年カンボジアプノンペン生まれ、ポルポト暴政下、両親・きょうだい4人を失い、タイ国境のカオイダン・キャンプに脱出し、80 年に来日。2005 年、母ときょうだいが亡くなった「キリング・フィールド」へ、当時の加害者とともに「合同慰霊の儀式」を行なう。)著書「虹色の空」春秋社。


 ◆映画上映

題目:ドキュメンタリー映画 『 ヒバクシャ:世界の終わりに(90分)(監督:鎌仲ひとみ氏)
日時:9月19日(土) 9:30 am~11:00 am
日時:9月19日(土) 11:10 am~12:40 pm
日時:9月20日(日) 14:00 pm~15:30 pm
日時:9月20日(日) 15:40 pm~16:10 pm
場所:
明々館9階 A909

「1991 年、世界で初めて劣化ウラン弾という兵器が使われてから私たちは新たな核時代に生きることとなった。それは普遍的な放射能汚染の現実を生きるということ。イラクで死に続けているがんや白血病の子供たちの出会いから「ヒバクシャ」を追う旅が始まった。生活することがそのまま被曝につながる、この現実はすでに私たち全員に及んでいる。核時代を生きる私たちは核のなんたるかを知らないままにヒバクシャとなりつつある、その内実を描いた」 (鎌仲ひとみ監督)
『ヒバクシャ:世界の終わりに』 予告編
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