10月定例会

10月定例会

異文化トレーニングの新しい教科書の理論と実習:

知覚構成主義から見えてくる「異」との出会い

Theory and Practice of a New Textbook on Intercultural Training: Encountering “Difference” through Perceptual Constructivism

 

開催日時:2022年10月1日(土)13:00~16:00

方法:ONLINE(ZOOM)

使用言語:日本語  Language: Japanese

 

講師:山本志都先生 (東海大学文学部英語文化コミュニケーション学科教授)

専門は異文化コミュニケーション学、異文化感受性研究、異文化トレーニング。M.A.(Speech Communication, Portland State University)、博士(教育学、上智大学大学院総合人間科学研究科)。異文化コミュニケーションを体験的に学ぶための教育手法を日々工夫している。異文化感受性発達モデルを長年にわたり研究し、日本的な観点を導入した尺度を開発している(印刷中)。構成主義に基づいた再解釈とモデルの拡張の詳細は新著『異文化コミュニケーション・トレーニング:「異」と共に成長する』(三修社)に掲載。著書に『異文化間協働におけるコミュニケーション:相互作用の学習体験化および組織と個人の影響の実証的研究』(ナカニシヤ出版)、『異文化コミュニケーション・ワークブック』(三修社)などがある。

山本1

石黒武人先生(立教大学異文化コミュニケーション学部異文化コミュニケーション学科准教授)

専門は異文化コミュニケーション学、組織ディスコース研究。M.A. (International Studies, University of Oregon)、修士(異文化コミュニケーション、立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科)、博士(異文化コミュニケーション学、同研究科)。ライフストーリー・インタビュー、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ、談話分析などの質的研究法を研究目的に応じて用い、様々な研究を行っている。著書に『多文化組織の日本人リーダー像:ライフストーリー・インタビューからのアプローチ』(春風社、日本図書館協会推薦図書)、『多文化チームと日本人リーダーの動的思考プロセス:グラウンデッド・セオリーのからのアプローチ』(春風社)などがある。

石黒1

講演の概要:異文化コミュニケーションの「異文化」から文化を外し、「異」に注目するようにしてみると、何が可能になるでしょうか? このワークショップでは、異文化コミュニケーション教育への新しいアプローチを理論とエクササイズの両面からまとめた新刊『異文化コミュニケーション・トレーニング:「異」と共に成長する』(山本志都・石黒武人・Milton Bennett・岡部大祐, 三修社, 2022年11月出版)の内容を紹介します。従来の異文化コミュニケーション教育のアップデートに挑戦した内容になっています。本書の理論的背景には「構成主義」と「異文化感受性の発達」があり、学習者自身もこれらの理論を学び、その発想を身につけるのですが、多彩なエクササイズや対話のワークを通して、体験的に学ぶことができるのが特徴です。今回のワークショップでは次のようなことを行います。

 

① 本書全体の内容構成・特徴の紹介、Bennett博士からの本書の紹介(動画)

③ サンプル章の紹介と解説

④ サンプル・エクササイズの実施と解説

⑤ Q & A、Bennett博士も参加しての自由な雰囲気での著者および参加者間の交流

 

本書のもう1つの特徴として、「異」に注目することによって、異文化コミュニケーションの知見が適用できる範囲を、従来の国や人種、民族などの社会的カテゴリーの単位の外へと拡張することを試みているということがあります。「文化の定義が集団レベルにあるがゆえに異文化を社会的カテゴリーと結びつけて集団的にとらえる」というアプローチには、ある種のやりづらさがありました。既存の社会的カテゴリーを活用するだけでは、家庭や職場、学校で意識化されることの増えた、様々なコンテクスト上で多様に可視化される非対称性をうまくとらえることができないからです。たとえば、留学、受験、出産、結婚、離婚、転職、病気、災害など、ある特定の出来事の「経験者」と「未経験者」の間にも、互いの発言や行動に違和感を覚えることや、立場の違いから誤解や衝突の起こることがあります。集団単位での文化にとらわれず、線引き(分節)により立場が分かれることに注目できるようにすること、そして分けるだけでなく、境界を引き直してつながれるようにすることが重要です。この問題意識の下、構成主義と状況論的を踏まえた教育を心掛けていた山本が、石黒の概念化した「コンテクスト・シフティング」に出会うことによって、「異文化」から「文化」を外し、知覚対象としての「異」とするアイデアが具体化しました。

構成主義的な観点からは、カテゴリー化すること、カテゴリー化を解除すること、再カテゴリー化すること、観察のためのレンズとしてカテゴリーを利用することなどを含む、カテゴリーとの柔軟なつきあい方が学べる異文化コミュニケーションが必要であると考えます。その中において、カテゴリー生成者としての主体者意識を持つことと境界変更が可能であることを重視します。複数のカテゴリーを同時に使用できる認知的複雑性を高めるだけでなく、カテゴリー化への繊細な注意の向け方に関わる知覚的複雑性を高めることも必要です。この考え方はMilton Bennettが構成主義のパラダイムで提唱してきた異文化感受性の発達に沿うものです。本書にはBennettによる序章と最終章のほかに、多文化関係学会第18回年次大会におけるBennettの2つの講演のうち、異文化感受性発達モデルに関する講演の日本語訳も掲載されています

画像3

【参加費と申し込み】Peatixからお申込みください。申し込み時に会員番号の入力のない方は受付しかねます。Peatix:https://sietar20221001.peatix.com

会員:600円   非会員  1000円

学生会員:無料   非会員学生 350円

  • お申し込みが確認された方には後程、ZOOMのアクセス方法など詳細をご連絡します。

なお、安定したWi-Fi環境でご参加されるようにお願い申し上げます。

問い合わせ先 (Please contact):プログラム委員長 (program directors):

鈴木有香 (日本語) Soyhan Egitim (English)

programs@sietar-japan.org